パソコンを動かすために欠かせない、いわば「頭脳」として活躍するのがCPUです。そしてこのCPUが活動することによって熱が発生しますが、それを冷やさなければなりません。そのために必要なのが「CPUクーラー」です。
ただ冷やすだけではなく、冷却性に特化したものや静音性に特化したものなどCPUクーラーにはさまざまな種類のものがあります。どういったものを目指すのか、によってベストなCPUクーラーも違いがあります。購入する際どんなところに気をつけて選べばいいのか、選び方のポイントをご紹介します。
CPUクーラーの選び方
CPUクーラーを選ぶ際は性能ももちろん大切なのですが、お使いのパソコンに合ったものを選択することも必要です。ただ性能だけにこだわるのではなく、どういった点に気をつけながら選べばぴったりのものが見つかるのか。ぜひチェックしていただきたい点をまとめてみました。
冷却方式で選ぶ
CPUクーラーを選ぶ際にまず気をつけたいのが「冷却方式」です。大きく分類すると「空冷式」「水冷式」と2種類に分けることができます。さらにそこから詳しく分類し、空冷式は「トップフロー」と「サイドフロー」に分かれます。
まずはそれぞれの方式をひとつずつご紹介していきましょう。特性を知ることで最適なCPUクーラーを選ぶことができますので、必ずチェックすることをおすすめします。
空冷式・トップフロータイプ
マザーボードの冷却性を重視するなら、やはりトップフロータイプのCPUクーラーがおすすめでしょう。トップフロータイプの冷却方法は、上から下に風を当てることによってマザーボード全体を冷却する仕組みとなっていて、ファンの向きをCPUと水平に取り付ける形になっています。
ファンやヒートシンクのサイズをこだわることによって薄型化させることが可能です。できるだけサイズをコンパクトにおさめたい場合にもおすすめでしょう。一箇所集中ではなく、全体的な冷却に向いている点がトップフロータイプのメリットです。
デメリットとしてはパソコンケース内部でのエアフロー、いわゆる空気の流れを作るのが苦手な点が挙げられます。ただし先ほどもご紹介したようにCPUに向かって直接風を当てるタイプなので、周辺の機器へも風を送れるためそこまでデメリットには感じにくいでしょう。
空冷式・サイドフロータイプ
ケース内にスムーズな空気の流れを作ることで冷却する。こちらは先ほどのトップフローにおいてデメリットであった、エアフローの流れを作ることを得意とした冷却方式です。サイドフロータイプはマザーボードに対してファンが垂直に立つ形となっていて、ヒートシンクに風を横からあてることでCPUを冷やす構造がサイドフローの名前の所以です。
風の向きが前から後ろに流れていくため、ケース内のエアフローを邪魔しないこと。スムーズかつ効率よく冷却させることができます。この方式・設計上、垂直に立っているためCPU周りにスぺースがあきやすいことから、メンテナンスしやすいのも精密機械であるパソコンには嬉しいポイントですね。
ただその大きさが仇となり、スリムタイプやミドルタイプのケースに搭載できないことも。できるだけコンパクトさを求めている場合には、その高さがネックとなってしまうこともありそうです。
水冷式タイプ
水冷式のCPUクーラーは空冷式とは違い、水を使って冷却するタイプのものです。ラジエーター(放熱する機器)を使って水を冷やし、パイプに水を循環させることでCPUを冷却する仕組みとなっています。ある意味で原始的な方法ではありますが、効果的な冷却という点においては優秀です。
ただ、ある程度の設置スペースを必要とするうえにコストもかかりやすい傾向にあります。冷却性能が高いというメリットを存分に活かせる、スペックの高いパソコンをお持ちの方にはこの良さを実感していただけるでしょう。CPUに熱が発生しやすい、負荷の高い処理が必要な場合や、高性能なプロセッサーを搭載しているのであれば水冷式はおすすめです。
以前はメンテナンスに難あり、といった意見もあったようですが最近ではメンテナンスフリーのものも増えてきています。水冷式を選ぶ際はそういった点もチェックしながら選ぶといいかもしれません。
静音性で選ぶ
冷却方式が重要なのはもちろんですが、使用感にこだわるのもやはり大切です。いくら冷却性能が優れていても、音がうるさかったり使用時にデメリットが大きいとストレスが多くなります。そこでできるだけ快適に使用できるポイントとしてこだわっていただきたいのが「静音性」です。
静音性を高めるためには、「ファンが回転する音を抑えたモデル」「ファンの回転数をカスタマイズして静音性を高めるモデル」があります。そしてこの静音性を表すものとしてdB(デシベル)という数値がありますが、この数字が低いほど静かな動作となっています。
また、合わせてチェックしたいのがファンの回転数です。回転数は「rpm」という単位で表記されていて、これは1分間にファンが回転する回数を表します。rpm数値が大きければ大きいほど冷却性能がアップしますが、同時に音も比例して大きくなります。
つまりファンの回転数をコントロールしながら音を抑える、というモデルがおすすめとなります。よりこだわるのであればカスタマイズによってCPUや冷却水の温度を調節して最適な環境を作ってみましょう。
ケースにあったサイズで選ぶ
CPUクーラーは取り付ける場所によってサイズを選ぶことも大切です。例えばサイドフロータイプのように高さがあるものの場合ですと、ケースによっては高さが足りないという事態が発生することもあります。こうなってしまうとケースの側面に接触してしまうため、正しく使用できません。
購入する前にはきちんとケース内のサイズを計測しておくなど、あらかじめ適切な大きさを把握しておく必要があります。もし高性能なCPUクーラーを導入する予定や、今後グレードアップする可能性があるという場合は、あらかじめフルタワータイプのPCケースを選んでおくのがおすすめです。
固定方法で選ぶ
CPUクーラーはただそこに設置すればよし、ではありません。取り付け方法にはいくつかの種類があります。ひとつは、工具を使用してしっかりと固定する「バックプレート式」です。CPUクーラーとプレートでマザーボードを固定するため安定した設置となります。前述のとおり工具を要するため、取り外しは容易ではありません。
さらに「プッシュピン式」があります。こちらはCPUクーラーについているピンを使って固定するのみですので、大変簡単に着脱できる点がメリットです。あまり難しい取り付け方はできないという方でも気軽に取り付けることができるでしょう。
他にもねじやクリップレバーを使用して取り付ける方法がありますが、それぞれ対応するタイプも違いがあります。まずは事前にチェックしてから対応するモデルを選びましょう。基本的に何度も取り外しする機会は少ないですが、メンテナンスを要するものの場合は固定方式が重要なポイントとなることもあります。
また多くのマザーボードで利用できるように、コネクターがいくつか付属していることがほとんどです。しかし全てのソケットに対応しているわけではありませんので、事前の確認は必須です。
CPUクーラー人気おすすめ商品TOP10
ここからはおすすめしたいCPUクーラーをランキング形式でご紹介します。購入する前にぜひチェックしてみてください。
ENERMAX CPUクーラー 9cm サイドフロータイプ ETS-N30R-HE
サイドフロータイプで、メモリーへの干渉を防ぐとともにCPUから発生する熱を効率良くアルミニウムフィンに逃がしながら、CPUを集中して強力に冷却してくれる仕様となっています。ヒートシンク内の風の流れに対し、ヒートパイプ背面に空気を取り込み・流すことで、冷却効果を向上させています。
静音アダプタを付属していて、ファンの入力電圧を12Vから7Vに下げて回転数およびノイズを約25%ほど低減させることができます。ユニバーサルバックプレートによってしっかりと固定できるので、安定した取り付けも可能です。
【ノイズレベル】16-28dbA
【高さ】137.2mm
Cooler Master I70C CPUクーラー [Blue LED搭載] FN1159 RR-I70C-20PK-R1
コンパクトさにこだわる方におすすめしたいのがこちらのモデル。内部スペースが限られているなど、小型のPCケースに適したコンパクトなデザインとなっています。底面部に銅素材を組み合わせたアルミニウムフィンを採用しているので、効率よく冷却してくれる効果が期待できます。
ブルーLEDを搭載し、美しいデザインも特徴です。小型デザインや見た目だけでなく、耐久性の高いファンを使うことで強力に冷却しながらも静音性を追求しているところがポイントです。
サイズオリジナルCPUクーラー 無限五 Rev.B
全高154.5mmという低めの設計なので、取り扱いしやすく、また多くのPCケースの互換性を向上させたCPUクーラーです。
新設計の「ブリッジ式リテンション」を採用しているので、大型ヒートシンクの確実な固定を実現。また寿命が長いとされる高密度密閉型FDBを採用した新型「KAZE FLEX」ファンを搭載することで防振性を高めている点も魅力です。
口コミでも評価は高く、「取付が簡単」「作動音が静か」「冷却効果抜群」など、多面から高評価を得ているのもおすすめポイントと言えるでしょう。
【ファンサイズ】120×120×厚さ25mm
【ノイズ】風量:4.0~24.9dBA/16.6~51.17CFM
サイズ 【HASWELL対応】 手裏剣リビジョンB SYURIKEN Rev.B 全高64mm超ロープロファイルCPUクーラー
トップフロータイプとなっており、CPUソケット周辺の熱を留めることなく冷却してくれます。オリジナル設計「12mm厚10cmファン」採用しているコンパクトデザインは、スリムケースでも対応しているので安心。あらゆるタイプのケースで使用できるところがメリットでしょう。
全高64mmのロープロファイル仕様で、6mm径ヒートパイプ3本に加え受熱部に銅プレートを採用することで効率よく熱を放出してくれます。グリス・図解入りマニュアルも付属しているので、取り付けの際も手順に沿って進めることができます。
【ノイズ(dB)】10.5
アイネックス [ LGA115x用 ] 薄型CPUクーラー CC-01
薄型CPUクーラーとなっていてその高さは32mm、さまざまなスリムケースでもお使いいただける仕様です。銅コアが発熱部分から直接冷却してくれるので、効率よく熱を冷ませる仕組みとなっています。放射状のアルミニウムヒートシンクによって放熱を最大化し、PWMファンは最小限のノイズレベルで最適な冷却を実現してくれるでしょう。
取り付け済みのスプリングネジとバックプレートによって、簡単で確実に固定できます。難しい作業が苦手な方でも安心して取り付けられそうですね。
【最大風量 / ノイズレベル】35CFM / 12〜33dB(A)
【定格入力】 DC12V 2.4W
【ファンサイズ】 96×96×17mm (突出部を除く)
Corsair H110i 水冷一体型CPUクーラー FN1022 CW-9060026-WW
効率的な冷却を実現する140mm静圧ファンを2基搭載したモデルとなっています。放熱効率に優れたラジエーターと静圧ファンを採用し、熱伝導率に優れる銅製ベースとポンプを内蔵したウォーターブロックによって効率よく冷却してくれます。簡単取付、メンテナンスフリーなのも魅力です。
CORSAIR社独自の管理ツール「Corsair Link」に対応していて、CPU温度やファン回転数のコントロールが可能となっています。自分好みにカスタマイズできるものをお探しの方におすすめです。
【ファン回転数】 2100 RPM
【ファン搭載】 2基
【騒音数】 43dBA
サイズ オリジナル設計 トップフロータイプCPUクーラー 超天 CHOTEN 虎徹のトップフロー版コンセプト
全高120mm設計で、PCケースのサイドパネルの影響によるファンのエアフローの低下を軽減する仕組みを取り入れています。CPUの発熱を確実に冷却させるために、厚みのある銅製受熱ベースプレートを使っていて、CPUクーラーとしての役割をしっかり果たしてくれるでしょう。
低回転から高回転まで、どの回転数にも最適な冷却性能を発揮するワイドレンジRPM設計となっています。冷却をとにかくこだわりたいという方にも満足していただける仕様ではないでしょうか。
SCYTHE IntelCPU専用ベーシッククーラー MONOCHROME VALUE
全高62mmとコンパクトなベーシックCPUクーラー「MONOCHROME」シリーズのバリューモデルとして販売されています。取り付け簡単なプッシュピン方式を採用しているので、不器用な方や取り付けが苦手な方でも安心です。フィンおよびベース部アルミ素材を採用し、温度状況によりファンの回転数が可変する「PWMファン」が搭載されています。
ソケット周辺の冷却も可能なワイドエアフロー仕様によって、CPUも安定した動作が期待できるでしょう。気になりやすいファンの音も、工夫によって軽減させることができます。
【回転数】1500 (± 20%)〜3400 rpm (±10%)
【ノイズ】25.8 dBA〜43.78 dBA
【対応CPU】intel 775/1156/1155/1150
【重量】275g
サイズ オリジナル設計 92mmサイドフロー型CPUクーラー 白虎 SCBYK-1000I
多くの小型PCケースにも対応させられる高さ130mmで設計されたモデルです。ヒートパイプ形状に合わせて成形された、5mm厚の銅製ベースプレートによってCPUの発熱を確実に吸収してくれる仕組みです。放熱フィンとファンマウントの位置を後方に配置して、ファンとメモリの物理的干渉を解消しながら効率よく冷却してくれるでしょう。
ファンの取り付けが容易な「取っ手付きワイヤークリップ」を採用しているので、作業が苦手な方でもスムーズに取り付けられます。
サイズ オリジナルCPUクーラー 虎徹 Mark II
全高154mm設計で、AMD最新ソケットAM4「RYZEN」に対応したモデルとなっています。従来モデル「虎徹」の基本仕様や冷却性能はそのままに、クーラー自体の取り扱い易さを損ねること無くパワーアップしています。より多くのPCケースで扱えるよう互換性が確保されているところも特徴です。
ナロータイプのフィン設計により、大型ヒートスプレッダ搭載メモリとの干渉を回避させ、2枚の形状の異なるフィンを組み合わせてファンの風を効率良く吸い込みます。PCケース内にハイエアフローを生み出すことにより、内部に熱がこもりにくくなります。
CPUクーラーの効果的な使い方
CPUクーラーの重要なポイントは、効率よく冷やせるかどうか。もちろんそれも必要なのですが、購入後にメンテナンスの必要があるのかどうか、というのも大切です。使用しているうちにCPUおよび、CPUファン周辺には誇りや汚れが付着します。これによって冷却効率も著しく低下します。
まめなメンテナンスは長くパソコンをもたせるためにも必要なことです。そういったことを考えると「一度取り付けてしまうと外しにくい」そんなタイプのCPUクーラーはややお手入れ面で考えると不向きな場合があります。しっかりと固定できることも大切ですが、取り外せなくなってしまうのも困りものです。
しょっちゅう行うことではありませんが、性能や価格だけではなく取り付けやすさやお手入れのしやすさといったメンテナンス面を重視することもぜひ視野に入れてみてください。性能の高さはご自身のお手入れによっても向上させることができますよ。
まとめ
いかがだったでしょうか。CPUクーラーもマシンをより良い状態で使いつづけるためには、ぜひこだわっていただきたいパーツのひとつです。性能や大きさ、固定方式などチェックすべきところはたくさんあります。まずはどういったパソコンで、どのように使っていきたいのか。そこからチェックして最適なものを見つけてみてはいかがでしょうか。